助動詞は古文読解のカギとなる重要な単元だ。
助動詞制すは古文を制す!しっかりポイントを押さえてマスターしようね。
この記事では助動詞「む」「むず」「じ」の文法上の意味の違いや使われ方について解説します。
- 3つとも推量の助動詞
- 3つとも未然形に接続する
- 「む」は四段型に活用する
- 「むず」はサ変型に活用する
- 「じ」は無変化型の活用。
む・むず・じの活用の形を覚えよう!
「む」は四段型、「むず」はサ変型、「じ」は無変化型といってどの活用でも形は同じなんだ。
「じ」は特殊の形だから注意しておこう。
古文読解では、様々な活用の形が問われるから、きちんと活用形をしっかり覚えておこうね。
む・むず・じの接続を覚えよう!
3つともすべて未然形に接続する。
それぞれどの活用形に接続するのか、ごちゃごちゃにならないように区別して覚えておこうね。
む・むずの6つの意味をマスターしよう
まずは、「む」「むず」の文法上の意味についてお話ししよう。
「むず」は「む」を少し強めた時に使う言葉だから、「む」さえ押さえておけば「むず」も同じだからね。
「む」「むず」には文法上6つの意味がある。
ちょっと数が多くて大変化も知れないんだけど、まずはこの6つをしっかり押さえておこう。
① 推量=~だろう
【例】
香炉峰の雪いかならむ=香炉峰はどんなでしょう
人々まうで来むず=人々は参上するだろう
② 意思=~しよう
【例】
ここにさぶらはむ=こちらにお仕えしよう
足の向きたらむ方へ住なむず=足の向いたほうへ行こう
③ 仮定=(もし)~だとしたら
【例】
二人して打たむは=二人で打ったとしたら
④ 婉曲=~のような
【例】
心あらむ友=情趣を解するような友
⑤ 適当=~が良い
【例】
なくてありなん(む)=ないのがよい
⑥ 勧誘=~してください
【例】
帰り給はめ=お帰りになってください
さて、意味はばっちり覚えられたかな?
次はこれらの判別方法だよ。
6つも意味があると大変だけど、簡単に判別できるテクニックを身につけよう。
①「む」・「むず」の下に「思ふ」「とて」→意思の意味で訳すべし
「思ふ」「とて」といった自分の動作が下につく場合は「~しよう」という意味になりやすい。
だから、「む」「むず」の意味は「意思」である可能性が大!
②「む」・「むず」の下に「体言」「助詞」→婉曲か仮定の意味で訳すべし
体言って覚えているかな?「名詞」「代名詞」のことだったね。
「む」「むず」の下にこの体言やこれらを省略して「助詞」がつく場合は、「~ような」「~だとしたら」という婉曲や仮定の意味になりやすいんだ。
婉曲と仮定を区別する方法は、主に「む」+「体言」なら「婉曲」、「む」+「助詞」なら「仮定」として覚えておこう。
③「いか~」+「用言」+「む」「むず」+「など/や・か」→推量の意味で訳すべし
用言とは動詞・形容詞・形容動詞のことだったね。
「いか~など/や・か」は「どうして~?」といった疑問文・反語文になる。
「どうして~」ときたら、文末は「~だろう」と訳すしかないよね。
だから推量の意味になるんだ。
④ 主語が一人称なら→意思、二人称→勧誘・適当、三人称→推量で訳すべし
①~③どれも当てはまらなかったら、最後に文の主語に注目してみよう。
一人称=私 二人称=あなた 三人称=それ以外の人・物
文脈にもよるんだけど、大体は主語が一人称なら意思「私は~するだろう」、二人称なら勧誘・適当「あなたは~したほうがよい・しませんか」、三人称なら推量「彼は~するだろうか」と訳すのが自然だよね。
ちなみに二人称の文はほとんど会話文でしか使われないよ。
⑤ 会話文の「こそ~め」「~てむや」「~なむや」→適当・勧誘で訳せ
「む」が「適当・勧誘」の意味でつかわれることは少ないんだけど、例外が一つ。
会話文のなかで「こそ~め」「てむや」「なむや」になっている形は「適当・勧誘」であることが非常に高いんだ。
じの3つの意味をマスターしよう
「じ」というのは「む」の打ち消された形なんだ。
だから文法上の意味は次の3つになるよ。
① 打消推量=~ないだろう
② 打消意思=~ないつもりだ
③ 不適当=~ないほうが良い
*不適当という意味は持っているんだけど、ほとんど用例がなく入試にもまず出ません。
練習問題にチャレンジしよう
次の傍線部の助動詞の意味をそれぞれ答えよ。
(1)計画がただ今もれ聞こえて、天下の大事に及びなんず。
(2)「恋しからむをりをり」
(3)法師ばかりうらやましからぬものはあらじ
(4)「忍びては参りたまはひなむや」
まとめ
助動詞は慣れるまでは大変だけど、助動詞制すは古文を制すというほど大事なんだ!
「む・むず・じ」の判別方法をしっかりマスターしようね。
- 3つとも推量の助動詞
- 3つとも未然形に接続する
- 「む」は四段型に活用する
- 「むず」はサ変型に活用する
- 「じ」は無変化型の活用。
- 「む」「むず」=推量・意思・仮定・婉曲・適当・勧誘の6つの意味がある
- 「む」「むず」の下に「思ふ」「とて」=意思の意味で訳す
- 「む」・「むず」の下に「体言」「助詞」→婉曲か仮定の意味で訳す
- 「いか~」+「用言」+「む」「むず」+「など/や・か」→推量の意味で訳す
- 主語が一人称なら→意思、二人称→勧誘・適当、三人称→推量で訳す
- 会話文の「こそ~め」「~てむや」「~なむや」→適当・勧誘で訳す
- 「じ」は打消推量・打消意思の意味がある