今回のテーマは「音便」についてです。
音便は、古文を読んでいくうえで大切な表現技法のことだ。しっかりマスターしよう!
- イ音便=イ音に変化する
- ウ音便=ウ音に変化する
- 撥音便=ン音に変化する
- 促音便=ッ音に変化する
音便ってなに?
音便とは、発音するときに音の調子を整えるために、単語の中のある音が変化することなんだ。
そのままでは、発音しにくいからちょっと発音しやすくしようってことだ。
全然難しいことではないんだよ。
音便の種類は「イ音便」「ウ音便」「撥音便(はつおんびん)」「促音便(そくおんびん)」の4種類ある。
音便の見分け方と使い分け
イ音便
四段活用の動詞の連用形「き」「ぎ」「し」形容詞の連体形「き」「しき」の子音(k、g、s)が外れて「イ」の音になる!
(例)
聞き(ki)手→聞い(i)て 仰ぎ(gi)て→仰い(i)で
思し(si)て→思い(i)て 良き(ki)人→良い(i)人
ウ音便
四段活用の動詞の連用形「ひ」「び」「み」形容詞の連用形「く」「ぐ」が「ウ」の音になる
これは、古典の音便でよくみられるし、現在でも関西弁や現代標準語に残っているのもあるんだ!
(例)
思ひて→思うて 忍びて→忍うで 頼みて→頼うで 白くなる→白うなる
撥音便
四段、ナ変、ラ変の動詞の連用形「び」「み」「に」、形容詞の連体形「かる」「しかる」、形容動詞「ナリ活用」の連体形「なる」が「ン」の音になる。
(例)
飛びて→飛んで 読みて→読んで
近かるなり→近かんなり 静かなるめり→静かなんめり
促音便
四段動詞とラ変の連用形「ち・ひ・り」がッ音=促音というになること。
発音するときは、「っ」と小さい音でいうんだけど、書くときは歴史的仮名遣いに従って大きい「つ」で書こうね。
(例)
立ちて→立つて 思ひて→思つて 取りて→取つて
用言と音便
用言とは、動詞・形容詞・形容動詞の3つだったよね。
この用言と音便の関係は次の通りだ。
【動詞】⇒ イ音便・ウ音便・撥音便・促音便の4種類すべてある。
【形容詞】 ⇒ イ音便・ウ音便・撥音便の3種類ある。
【形容動詞】⇒ 撥音便のみ
練習問題にチャレンジしよう
次の音便の種類を答えよ。また、音便化する前のもとの形を答えよ。
ア 思う給へ
イ 渡つて
ウ 噛んで
エ 静かなんめり
オ 剥いで
まとめ
音便について理解できたかな?決まりをもう一度確認しておこうね!
- イ音便=四段活用の動詞の連用形「き」「ぎ」「し」形容詞の連体形「き」「しき」の子音(k、g、s)が外れて「イ」の音になる!
- ウ音便=四段活用の動詞の連用形「ひ」「び」「み」形容詞の連用形「く」「ぐ」「ウ」の音になる
- 撥音便=四段、ナ変、ラ変の動詞の連用形「び」「み」「に」、形容詞の連体形「かる」「しかる」、形容動詞「ナリ活用」の連体形「なる」が「ン」の音になる。
- 促音便=四段動詞とラ変の連用形「ち・ひ・り」がッ音=促音というになる