自立語

【古典】形容詞・形容動詞の活用をマスターしよう!

今回のテーマは形容詞・形容動詞の活用形についてです。

これらの活用形は決まった種類があるから、それをしっかり理解しようね。

この単元は動詞の活用の次に、重要な範囲なんだ。しっかりポイントを整理して得点につなげよう。

  • 形容詞の活用形「ク活用」「シク活用」を覚えよう。
  • 形容動詞の「ナリ活用」「タリ活用」を覚えよう。

形容詞の活用ってなに?

まず、形容詞とは何かおさらいしておこうね。

形容詞言い切りの形が「~し」で終わる品詞だ。

【例】 美、な、高し など

※現代語では、美しい、ない、高いなど、「い」で言い切ります。

形容詞とは、人や物の性質や状態・感情を表しているんだよ。

 

では次に活用形のおさらいだ。

活用の種類は全部で6つあったのを覚えているかな?

未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の6つだ。

 

そして、この活用形に形容詞が活用していくわけなんだけど、

その活用のパターンには「ク活用」「シク活用」という2種類あるんだ。

 

では、この2つをどうやって見分けていけばいいんだろう。

その方法は、形容詞に「なる」をつけてみるんだ。

ク活用とシク活用の見分け方

「形容詞~し」+なる

⇒ 「形容詞~く」+なる 『ク活用』

⇒ 「形容詞~しく」+なる 『シク活用』

「~くなる」となれば「ク活用」、「~しくなる」となれば「シク活用」になるんだよ。

では詳しく見ていこう。

「ク活用」=活用語尾が「く・し・き・けれ」になるもの

【例】 明かし・多し・寒し・心細し・にくし など

明か+なる

+なる

+なる

このように、「なる」をつけると「くなる」となっていますね。

「シク活用」=活用語尾が「しく・し・しき・しきれ」になるもの

【例】悪し・あやし・いみじ・うれし・すさまじ など

しく+なる

あやしく+なる

すさまじく+なる

このように、「なる」をつけると「しくなる」となっていますね。

※「じくなる」もアリ。

形容動詞の活用ってなに?

まず、形容動詞とは何かおさらいしておこうね。

形容詞言い切りの形が「~なり/たり」で終わる品詞だ。

人や物の性質や状態を表しているんだよ。

形容動詞の活用の種類も、形容詞と同じく2種類あるんだ。

1つ目を「ナリ活用」、2つ目を「タリ活用」という。

これは言い切りの形が「なり」か「たり」かで簡単に見分けがつくよね。

「ナリ活用」の活用の種類

注意すべきは、「ナリ活用の形容動詞」と「名詞+ナリ」の見分け方だ。

ナリがついていたら何でもかんでも形容動詞ではないので注意しようね。

見分け方は「いと(=とても)」を頭につけてみて、意味が通ったら形容動詞、意味が分からなかったら「名詞+なり」だ。

【例】

「静かなり」=「いと」+「静かなり」=とても静かだ=〇

「女なり」=「いと」+「女なり」=とても女だ=✖

「タリ活用」の活用の種類

ただし、未然形・已然形・命令形はほとんど使われていないんだ。

タリ活用の形容動詞は非常に数が少ないんだよ。

練習問題にチャレンジしよう

次の文から形容詞・形容動詞を抜き出し、品詞名と活用の種類と活用形を答えなさい。

大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられてありくもうつくし。

をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし。

解答はこちら

答え

大き=ナリ活用の形容動詞「大きなり」の連用形

うつくし=シク活用の形容詞「うつくし」の終止形

をかしげなる=ナリ活用の形容動詞「をかしげなり」の連体形

あからさまに=ナリ活用の形容動詞「あからさまなり」の連用形

らうたし=ク活用の形容詞「らうたし」の終止形

まとめ

古典文法の活用形と活用の種類を覚えるコツは、何回も活用を声に出して音読してみることだ。深く考えずに、リズムで覚えてしまおう。

まとめ
  • 形容詞の活用の種類=「ク活用」「シク活用」
  • ク活用=活用語尾が「く・し・けれ」になるもの
  • シク活用」=活用語尾が「しく・し・しき・しけれ」になるもの
  • ナリ活用と名詞+「なり」は「いと」をつけて見分ける
  • タリ活用の形容動詞はほとんど出ない。